『文・堺雅人』文春文庫
堺雅人
堺雅人
堺雅人という俳優の存在は知っていたが、惹きつけられたのが「リーガル・ハイ」を観てから。
ドラマ自体の出来がとてもよかったし、何より堺さんが演じる古美門研介というキャラクターが、今まで見たことのないような人物で、とても魅力的だった。(特に早口で繰り出す長回しのマシンガントークが信じられなかった)
その後、別の主演映画「南極大陸」を観たところ、今度は無口な料理人の役をやっていて、「この人はどんな人なんだろう」と強烈に魅力を感じた。
過去のインタビューや情熱大陸で彼の人となりを理解しようとし、その一環で本書も手にとった。
基本的に「演じる」ということについて彼が普段考えていることを書くというスタイルのエッセイで、肩の力を抜いて、お酒でも飲みながら軽く読むのによかった。
またこの人の物のみかたとか考え方がとても誠実で、文章も(あえてなのか)ひらがなの割合が多くて柔らかで。
文章にする前に普段から自分が考えてることや、抱いている思いがちゃんとないと魅力的な文章にならないとは思うのだけど、堺さんの文章はその、「言葉になる前の思い」を誠実に、正確に言葉にしようという姿勢がにじみ出ていてますますファンになってしまった。
思いや言葉に妥協せずにきちんと向きあおう、という気持ちにさせてくれた一冊。
