2014年2月10日月曜日

2巻『文・堺雅人』

『文・堺雅人』文春文庫
堺雅人
文・堺雅人 (文春文庫)

堺雅人という俳優の存在は知っていたが、惹きつけられたのが「リーガル・ハイ」を観てから。

ドラマ自体の出来がとてもよかったし、何より堺さんが演じる古美門研介というキャラクターが、今まで見たことのないような人物で、とても魅力的だった。(特に早口で繰り出す長回しのマシンガントークが信じられなかった)

その後、別の主演映画「南極大陸」を観たところ、今度は無口な料理人の役をやっていて、「この人はどんな人なんだろう」と強烈に魅力を感じた。

過去のインタビューや情熱大陸で彼の人となりを理解しようとし、その一環で本書も手にとった。

基本的に「演じる」ということについて彼が普段考えていることを書くというスタイルのエッセイで、肩の力を抜いて、お酒でも飲みながら軽く読むのによかった。

またこの人の物のみかたとか考え方がとても誠実で、文章も(あえてなのか)ひらがなの割合が多くて柔らかで。

文章にする前に普段から自分が考えてることや、抱いている思いがちゃんとないと魅力的な文章にならないとは思うのだけど、堺さんの文章はその、「言葉になる前の思い」を誠実に、正確に言葉にしようという姿勢がにじみ出ていてますますファンになってしまった。


思いや言葉に妥協せずにきちんと向きあおう、という気持ちにさせてくれた一冊。

2014年2月4日火曜日

1巻『知的複眼思考法』

『知的複眼思考法』講談社+α文庫
苅谷剛彦
知的複眼思考法 誰でも持っている創造力のスイッチ (講談社プラスアルファ文庫)

「もっとよく考えろ」社会人になってから私がよく言われるワードの一つですが、言われたもののそこからどう考えればよいのかがわからずにいました。(そうするとまた「考えろ」と言われて嫌になってくる)


学生の頃はたいていのことに答えなりハウツーがあったから、ゴールに至るために何をすればよいのかというのは殆どの場合それほど苦労せずにわかったのだけど、社会人になるとそうもいかない。


社会人になって取り組むことは「答えがない」ものが多い、とは学生時代から何かと聞く話だったけれども、自分が実際に社会人になってみると、答えがないものに答えを出すためにどう考えればよいかが、こんなにもわからないものだとは思っていなかった。


本書はそのヒントを与えてくれた。


一言で本書を言い表すと、「複眼思考」のススメ本。

複眼思考とは、簡単に言うとひとつの事象を様々な立場から見ましょう、ということ。

対義語が「単眼思考」で、これは物事の一面しか見ないこと。


たとえば、「なぜ大学生の就職難が起きているのか」という問いに対して、「不況だからだ」で納得してしまうのが単眼思考。

複眼思考では、「大学生」を男女に分けてみたり、大学のレベルで分けてみたりして新たな問いを発見していく。

そうすると、就職難が起きているのは大学生全体ではなく、その一部の問題になり、答えも「不況だから」という1つだけではなくなる。

(不況も要因の1つかもしれないが、不況が全てであれば大学生全体に就職難が起きていなければならない。)


このケースは、第3章「問いの立て方と展開のしかた」で語られていることの一部。

他にも問いをどんどん深めて考えていくやり方の基礎・基本が詰まっている。

上司に「考えろ」と言われたらこのあたりを参考にして考えてみると、良い結果につながりそう。


ただ、この本の中で私にとって最も興味深かったのは、1章「創造的読書で思考力を鍛える」のパート。

これまでの私の読書に対する姿勢は、著者に教わる生徒といった立場に立っていた。

だから、本を読んでも「ふむふむなるほどね」と流し読んでいたのだと気付かされた。

それでは受け身になって、考える力がつかない、と著者は言う。著者も同じ人間なのだから、まず対等な立場に立って読むことが大事であると。

すべてが正しいわけではなく、著者も人間だから忘れていることがあったり、論理が飛躍していることだってある。

著者はどんな立場でこれを書いているのか。

なぜこの本を書いているのか。

主張を支える根拠は正しいか。曖昧ではないか。

著者が正しいとは限らない前提に立ち、論理を丹念に追っていく。

ふむふむと流し読みをしていた私にとって、はっとさせられた内容でした。



ことあるごとに読み返したい一冊。

【珈琲散歩】香味喫茶ハライソ珈琲(尾道)外怪しげ・中素敵なやんちゃカフェ!

向島の「珈琲豆ましろ」を出たあとに特にやることもなかったので、前からその独特の存在感が気になっていたカフェ「香味喫茶ハライソ珈琲」に入ってみることに。1人だと気兼ねなく冒険できるのが良いよね。 尾道商店街の入口にお店がある。写真じゃわかんないと思うけど 、ドア開...