とはいえスマホばかりだと電池はなくなるし、動画など見ようものなら通信制限が迫ってくる。だったらもっと有意義な使い方をしようと、最近は本を読むようにしている。スマホより本を読んでいる方が自然と眠りにもつけるということもある。
直近の帰省で読んだのが、福島宙輝著「豊かな人生を引き寄せる「あ、これ美味しい!」の言い換え力」で、本屋に行ったときに目当ての本が品切れで、代わりに買ったもの。
福島 宙輝
三才ブックス (2018-08-27)
売り上げランキング: 77,184
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これが面白かった。
本書の趣旨を簡単にまとめると、「芸能人格付けチェック」でGACKTさんが高級な食材と安い食材をピタリと言い当てることができるように、味の違いをわかる大人になりましょう、そのための方法論を伝えますよ、という本。
自分なりに書かれた内容をまとめると、まずは漫然と食べるのをやめて、「風味を含めた味をしっかり感じること」そして、その感じた味を「言語化する」こと。その内容をテイスティングノートに記録していくことで、新しく食べたものでも過去に食べたものとの比較ができる。これがGACKTさんが使っているスキル。
特に面白かったのが、しっかり味わうとはどういうことをすればよいのか、具体的に書いてある第3章「「空間と時間」の意識を持てば、料理の味は別物に変わる」。
「空間」は、主に風味を感じる鼻の空間と、味を感じる舌の空間を意図的に活用することが書かれている。
鼻で風味を感じる、というとクンクン嗅ぐようなイメージだけど、実は風味を感じる経路は2種類ある。食べ物を食べたときに口の奥から立ち上がってくる風味を感じる経路がある。クンクン嗅ぐ前者を「オルソネーザル」といい、後者は「レトロネーザル」というらしい。そして風味を感じるときは、「レトロネーザル」が重要な役割を果たす。
鼻をつまんでキャンディを食べると味がしないけど、口に含んだままつまんでいた手を離すと一気に風味を感じることができるのは、この「レトロネーザル」経路で風味を感じるから。
この2つの経路は、異なる風味の印象を与えるので、味をしっかり捉えるには両方を意識して味わうことが大事。
舌については、舌の位置によって役割が違うので、意識して味わおうということが書かれている。舌を4つに分割し、「舌の先」「舌の中央」「舌の両側」「舌の奥」を使おうと提唱している。
「舌の先」は最初に味を感じ取る。意外にも味を感じる味蕾が少ない「舌の中央」は味の形と動きを感じる。「舌の両側」では輪郭と広がりを。「舌の奥」は飲み込んだときの味わいと後味を感じる。
これら空間を駆使して、時間経過に応じて味を感じて表現することが味覚を鍛えることにつながる。時間経過は、「口に入れる瞬間」「中盤の味」「味の変化」「飲み込むときの味」「余韻」の5フェーズ。これを捉えて、言語化していこうということ。
味の言語化、なんていかにも難しそうだけど、著者は勇気が出る金言を授けてくれている。
「言葉にすることで気づき、気づくことで言葉になる」
味わっているものを語るのではなく、よくわからないままでいいからとにかく言ってみることが最優先、とのこと。なんとも心強い言葉だ。
訳わかんなくたっていいから言ってみる。そうすると、自分の中でも「ちょっと違うかな」という違和感が生まれる。別の言葉で言い換えると?…とやっていくと味を表す言葉を獲得していける。
めちゃくちゃ地味な日々の鍛錬でしか鍛えられない。でも身につくものってそういうもの。しかも味覚の鍛錬の場は1日3食なら3回もある。違いが感じられる味覚を身につけて、自分の料理のレベルアップにもつなげたいなと感じた本だった。

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