2018年12月21日金曜日

【読書メモ】鬼速PDCA/冨田和成著

最近気になっていたらなんとKindle Unlimitedの対象本になっていたので読んでみた一冊。

これが大変に良かった。ゴリゴリの実践本で、一読して「なるほどね~」で終わらせるとあんまり意味がない。ただボリュームが多くてやることもヘビーなので、試しながらつまづいて、何度も読み返してブラッシュアップしていく類の本かと思う。


著者はPDCAを単なるビジネススキルではなく、あらゆるビジネススキルの根底にあって、あらゆる活動を支えるスキルだと説く。


そのPDCAを高速を超える「鬼速」で回すことで圧倒的な成果を出せる、というのが著者の主張。「鬼速」って言葉がめっちゃゴリゴリの体育会感があって笑ってしまったのだけど、経歴を見ると学生起業をして、野村証券に入社して超優秀な営業成績を収めて今はフィンテックを扱う会社の創業社長だということで納得。「鬼速」から連想するように文章も熱いし速い。



とりあえず、実践の前にポイントをまとめておこうと思う。

 ・最近だとある仕事の年間計画を見たときにもやっとしていたことを明確に書いてくれていて、「そうそうこれなんだよ!」って思った。

特に、PDCAが階層構造になっているという理解の仕方。
1枚ペラで鬼速PDCAをまとめた図はそれよくを表している。

・ものごとにはゴールがあって、現状とのGAPが課題となる。
これはよく問題解決の本とか研修とかで聞く内容。
でも、じゃあその課題をどう扱えば物事が前進していくのか、というのは結構ぼんやりしている場合が多いんじゃないか。
本書はそれをレクチャーしてくれている。

・達成したいゴールがある。それを定量化したのがKGI
つまりKGIが達成されれば、ゴールが達成されたということ。

・ゴールと現状とのGAPである課題を出す。課題を解決できれば、ゴールが達成されるという関係。
ゴールからそのまま課題を引っ張り出そうとすると、ゴールはたいてい漠としてとっかかりづらいので、ゴールを因数分解することが大事。
よく言われる例だけど、「売上を20%上げる」から課題を出していくのは広くて難しいので、「売上」をたとえば「客数を増やす」「客単価を上げる」みたいに分解をする。
こうするとより具体的に課題が出てきやすい。

・ゴールを因数分解し、それに対して課題を考えていくと、課題は複数個出てくる。全部に対して打ち手を打てれば良いけど、そんな時間もお金もないので、優先順位付けが重要になる。特に重要な課題を3つ目安に絞り込むと良いという。どうでもいい話だけど、ビジネスマンは3って数字が好きだよね。取り扱いと効果のバランスが良いんだろうな。

・鬼速PDCAでは課題を課題のまま置いておかず、必ずKPIを設ける。課題を定量化したもの。ここが結構ポイントというか、難しそうだなと思う。
どんな数字を満たせばその課題が解決できるか、という想像力が問われるなと。
元来数字があるものならそんなに難しくない。先の例でいくと、客数が少ないことが課題だとわかったなら、「客数20%アップ」を設定すれば良い。
でも「上長が人事評価をする際に、他部署との評価基準が合っていない」みたいな課題だと、KPI設定が難しい。
評価基準のすり合わせミーティングの実施回数とかになるのかな。
それだと頻繁にあるものではないからKPI管理が難しそうだ…。
ここは一読して考えただけではしっくり来ていないので、考えたいポイント。
この悩みに対して心強いのは、「やってみて修正すりゃいい」というPDCAの根本の考え方。
知恵を絞って考えたらやってみれば良いんだ、違ったら修正すりゃいいんだと思える。
一回やってみているからこそ見えるものもあるだろうしね。

KPIを設定したら、そのKPIを達成するための解決案を考える。
解決「策」でなく解決「案」なのは、ここではまだざっくりした方向性で良いから。
「客数を増やす」だったら「呼び込みに力を入れる」「営業時間を延ばす」とかのまだ即時にアクションを取れる粒度でなくて良い。

・これが出たら、また解決案に対して優先順位づけをする。
本を通じてとにかく優先順位が大事だと言っているのが印象的。
投入資源が有限な中で最大の成果をあげる、という発想がベースだなと思う。パレートの法則が意識にあるな、と思うのだけど、最重要20%が成果の80%を作るならその20%だけは絶対やろうぜ、そうすりゃ物事は進んでいくから、という発想。
仕事で目にする計画で、あれもこれもになってしまっていると、何のために何をやるのかの関連性が見えづらくなっていて、ただでさえ忙しいのに目的や効果の曖昧なものをやる方のモチベーションも上がらないしでよろしくないよなぁと思っていたので、この発想は超大事だと思う。
偉い人が絡む全社的な計画だとそうなりやすい傾向があるように思う。

解決案に優先順位を付けたら、これを具体的な行動(DO)に落とし込む。
「呼び込みに力を入れる」方向性で考えるなら「Facebookページを作る」とか「ビラを撒く」とか。
これが出たらまた優先順位づけ。PDCAを下っていくごとに項目が増えていくから、このフィルターは複数回かかる。


・優先度が高いDOに関してはまた定量化。これをKDIと呼ぶ。

「ビラを撒く」だったら「1週間で500枚撒く」のように。半週で振り返りを行うなら、半分の250枚撒けていたら進捗OK、という風にトレースができる。


・そして、KDIを満たすTODOを設定する。

TODOはそのままスケジュール帳にかける粒度のタスクであることがDOとは違う。
「ビラを撒く」だとスケジュール帳に書き込むにはまだ粗い。「デザインの叩きを作る」「印刷会社に発注する」とかの粒度がTODOになる。TODOになったらあとは実行するだけだ。


・そして振り返りも大事。著者の会社では、半週ミーティングといって、KDIの進捗管理を半週で行っているそう。KPIは1週間~1ヶ月、KGIは1ヶ月~1四半期で行う。

KPIKGIは外部環境の影響を受けたり、行動の結果が反映されるまでにタイムラグがあったりするけれども、KDIは自分たちのコントロール下にあることなのでここを頻繁にレビューすることで確実に物事を前に進めることができる、という意図。


・これはKGIKPIKDIが紐づいている、という前提があるからできる合理的な発想だなぁと感心した。こんな視点で振り返りをやっている会社があるんだ、と思うと危機感を感じた。


・計画段階でミスがあって、KDIを達成しているのにKPIKGIが動かないケースが出てきたら、前の各段階に戻って変更や追加、中止の判断を加える。

これを繰り返すことで、KGIKPIKDIと紐づいた活動ができるというわけ。すごいなぁ。


とりあえず一読して、仕事のやり方としてめっちゃ好みだと思ったことと、頭では言っていることがわかったので、日々の生活の中で実践しようと思う。


ゴールがあるものはすべてPDCAが回せる、という言葉の通り、練習教材には事欠かないと思うのでまず1つやってみて、だんだんと増やしていこうと思う。




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